ある盲目の鍼灸師は、私に針の使い方を教えてくれた。
自分でも、不思議だったのだが、針を持つと、どこに刺せばいいのかが自然と分った。指先が引っ張られるように、すうっとツボに導かれるのだ。そこに針を差し込むと、ゆっくりと入ってゆく。そして、ある深さでぴたりと止まる。
深さは、人によって、部位によって違ったが、どの深さが的確であるかは、指が自然に感じるのである。そのときは、意識していなかったが、それも波動のようなものだったのだろう。効き目は、確実に現れた。
こうなったら、本格的に針をやろうと小さな部屋を借り、治療室を開業をした。鍼灸の資格を取得したのは、その後だった。治療経験を積んでから資格を取るいう、普通とは逆の順番になってしまったのである。
開業してからも、順調だった。針の数も症状に合わせてあちこちのツボに刺す。着実に効果も現れた。そんなある日、いつも来る患者さんが、最初の針を刺した瞬間に言った。
「ああ、効く。最初の一本が一番効くね。」
なんとなく、そんなことを感じていた私に、その言葉は深く胸にくいこんだ。それならば、針は、的確なポイントに打てば、一本でも十分ではないだろうか?そう私は考えるようになった。その後、色々な患者さんたちに一本だけの針を試みた。腰、肩、ひざ、腕、、、部位や症状は、全く違っても、同様に痛みがとれたという。一本で十分という私の直感は間違っていなかった。
その一本を刺す部位とは、「仙骨」の上だった。様々な痛みが不思議なくらいに消えてしまうという評判は、あっという間に広がり、患者さんの数はみるみる増え、1日150人もの患者さんが来る様になった。
だが所詮、対症療法でしかなかった。症状は消えても、またしばらくするとぶり返す。原因を解決していないからだ。患者たちの中には、症状が消えて喜んでいた方が、別の病気で亡くなっていくのです。「真の健康」とはどういうことなのかと悩み、痛みなどの症状だけを取り除く対症療法に限界を感じ、様々な治療法の研究に没頭した。
そして、カイロプラクティックと、その創始者パーマーの思想に出会った。それは、上部頸椎1番と2番の歪みを正すだけで、ドミノ倒しのように、背骨のバランスが整い、難病が自然に治癒する画期的な療法だった。これは生命の根源が脳幹にあるという証拠。
確かにイネイト(生命力)の源が脳幹にあるという発見は素晴らしいが、頸椎は重要な場所なので、下手に触るのは危険であり、訓練が必要だ。生き物にとって重要部位であるとともに、ヘタに動かすと危険な部位でもあり、どうすれば、安全に頚椎バランスを整えられるか?という点が問題であった。
そんな、ある日のこと。機械好きな私が、秋葉原を歩いていた時のことです。何か、体の首の辺りがとても敏感に熱い感覚が襲ってきた。
「なんだろう?この刺激、感覚は?」
私は、その刺激を感じる報告に歩いていくと、それは、とある電気屋さんだった。私は、それが一体何であるかを探した。そして見つけたのは、ある半導体だった。
「とっても小さなものが、こんなに大きな刺激を与えるなんて!これは一体なんなんだろうか?」
数ある中である1つの半導体だけに、その刺激というかエネルギーを感じた。ホメオパシー(※)という療法を長年研究していた私は、いつの間にか微細な振動を感じ取れるようになってきていたが、その振動の発生源が、ある半導体だったのに気づいたのだ。
「これは、もしかしたら、治療に応用できるかもしれない!」
そう感じた私は、半導体チップをさらに加工して、もっと鋭く作用することができないかどうか研究を始めた。半導体というと、本当に小さいものだが、半導体の素材や大きさ、薄さを調整するうちに、波動が変わってくるのが分った。たった小さな半導体チップが、こんなにも整体に影響を与えるなんて!という驚きと健康への可能性を感じながら、寝る間を惜しんで作業を進めた。
ただ、治療に使えるようないい波動のモノがを作ろうとしても、実際に製造に成功するのは、10個のうち1つだけという低確率。なかなか再現性のある商品が出来るまで苦労した。ほんの寸分の狂いが、全く異質な波動を生み出すからだ。その位、波動は繊細なものだった。
数々の失敗の末、1996年ついに脳幹が振るえ、安定して頚椎バランスに影響を与えるまでに精度をあげた「脳幹活性ペンダント」が完成した。イフは、いわばそんな偶然と毎日の患者さんたちの治療に携わった経験から生まれた産物だ。
そして、それまでは自分の感覚のみでしていた治療法は、このイフの開発がきっかけで、だれでも簡単に出来るものになり、治療院以外にいる方でも、十分に活用できるものになった。
無痛、無刺激、無接触のむつう整体法は、今までの常識とは全く違うレベルの健康法であり、中には信じようとしない方もいるが、実際の患者さんの改善を見ていただければ、疑いようのない画期的な療法だ。イフの発明で、そのことがさらに証明されたのではないだろうか。